ヨガ・スートラで述べられている八支則

パタンジャリの「ヨガ・スートラ」で述べられている、ヨガの八支則の4番目にあたるプラーナヤーマ(呼吸法)は、複雑である必要はない、ということ。

 

文字通り「生命力を拡張する」あるいは「プラーナ」を意味するプラーナヤーマ、子供でもできるシンプルなものから、経験を積んだ練習者のみに適したものまで、さまざまな手法がある大変豊かなプラクティスだ。
プラーナヤーマは、経験のある指導者の下で行うのが一番良いが、プラクティスの中には、横隔膜を使った穏やかな呼吸や、吐く息を楽に伸ばしていく呼吸といったシンプルなテクニックもある。
こういったプラクティスは、呼吸だけでなく、マインドの状態を変える為にいつでも行うことのできるものだ。

 

ヨガセラピストとして仕事をする上で、うつ、不安感、睡眠障害、慢性的な痛みといったものから、さまざまな問題に苦しむ人たちをケアしている。
これまで何度も、シンプルなプラーナヤーマのプラクティスがストレスを軽減したり、安眠を促したり、痛みを和らげたり、注意力や集中力を高めるのを見てきた。

 

また、より繊細なレベルでは、プラクティスの助けによって、彼らが自分自身の内側の穏やかで静かな場所と結びつき、あらゆるレベルで明瞭さや幸福感の高まりを経験するのを目にしてきた。

 

「ヨガ・スートラ」でパタンジャリは、プラーナヤーマとは、無意識の呼吸パターンを断ち切り、長く穏やかでスムーズな呼吸へと変えるプロセスのことだと述べている。
ほとんどの人が無意識に行っている呼吸のパターンは、穏やかでスムーズな呼吸とは程遠い、緊張して浅く、不安定なものだ。
恐怖を感じたり、悪い知らせを聞いたりすると、しばしば息が止まることがあるが、これは吸った後に息を止めてしまうのだ。
このような呼吸のパターンは、交感神経を活性化(しばしば「闘争・逃走反応」と呼ばれる」してしまう。)

 

吐く息を長くスムーズに伸ばすプラーナヤーマが有益な理由のひとつは、プラクティスを正しく行えば、副交感神経をサポートし、一般に「リラックス反応」として知られる状態を活性化し、体とマインドへのストレスや、ストレスがもたらす影響を軽減するからだ。
その結果、困難や不運から立ち直る力が増し、マインドはより集中し、平穏になる。

 

穏やかなマインド

「ヨガ・スートラ」で述べられている八支則は、ヨガ的状態、つまり集中した状態へ到達する助けとなる道である。
けれども、これが最終的なゴールではない。
パタンジャリが言っているように、集中した状態へ達することがもたらす結果とは、ものごとをより鮮明に知覚し、自分の内にある真我との結びつきが強まる経験のことだ。

 

真我と結びついている時には、マインド、身体、思考、感情、仕事、そして自分を取り巻く変化し続けるすべての状況から、真我でないものを容易に見分けることができる。
識別できるようになれば、本来の自己という場所から行動を起こすことができるようになり、苦しみが軽くなる経験をするだろう。

 

プラーナヤーマは、近くをより鮮明にし、本来の自己との結びつきを強め、最終的にはさらに幸せな人生へと私たちを導きながら、より焦点の定まった集中した状態へと到達するための重要なツールである。
「ヨガ・スートラ」の2章52節で、パタンジャリは「プラーナヤーマを行うことによって、私たち自身の内なる光を遮断していた覆いが取り払われる」と述べている。

 

これはつまり、プラーナヤーマのプラクティスを通して、自らの内なる光と真我との結びつきを遮断する、動揺、混乱、自己不信といった、マインドのノイズを軽減することができるということだ。
こうして、プラーナヤーマは、人生に深い影響をもたらすのである。

 

 

シャヴァーサナに深く浸る

仰向けで横たわり、身体をできるだけニュートラルな位置に置く。
脳はシャヴァーサナでのミスアラインメントを感じ取ると、集中を乱す。
身体のバランスが取れるほど、脳は鎮静される。
ひとたびこの状態になれば、普段感じている身体の境界がぼやけはじめ、消えていき、自身が広がっていくように感じるだろう。

 

両腕を上体に対して45度ぐらい広げ、手のひらを上に向け、指の節が均等に床にふれるようにする。
両足が体の中心線から同じ角度になっているかを確認し、かかとをやや外側に開く。
両耳が肩から均等な距離になるように頭の位置を調整し、両目が均等な高さで天井に向くようにする。
頭が傾いたりねじれたりしないように、身体がニュートラルな位置になるほど、脳は自由になる。

 

ニュートラルな位置取りができたら、舌も口の底部に休ませよう。
舌にも中心線があるので、中心から均等に広がるようにしよう。
目は眼窩の奥に沈ませ、後頭部の奥で自分の呼吸音を聞き取るように外耳道を深く鎮める。
最後に、鼻梁の皮膚や眉間を柔らかくする。

 

中心で落ち着いている感じがして、感覚器官が緩んできたら、頭蓋骨の中の脳をイメージする。
脳が縮み始め、どんどん小さくなり、頭蓋骨の内側を覆う膜から離れていき、後頭部に落ち着くように。

 

目は出来るだけ静止させて、眼窩の奥で休ませる。

 

息を吸う時は、無理に吸わずにただ息を取り込む。
脳が額から遠ざかり、後頭部で落ち着いている感覚を味わう。
息を吐く時は、ゆっくりと滑らかに息を解放する。

 

この後の数分間は、できるだけ静止した状態で、現在にとどまることが重要だ。
かかと、ふくらはぎ、お尻、胴体、腕の背面、頭の後ろ。
身体の大半を背面に向かって沈めていく。
床と接しているのを感じ、呼吸と周囲の音に意識を向けながら、シャヴァーサナの間、いまこの瞬間にとどまるようにしよう。

 

シャヴァーサナに費やす時間の目安としては、30分練習するごとに、少なくとも5分間だ。
しかし、もちろん5分から20分間この甘美なポーズを味わっても良い。

 

瞑想的な状態へ入っていく

ヨガではポーズによって意識を方向付ける。
力強い後屈でアドレナリンを高めたい時もあれば、プロップスを使ったシャヴァーサナ(亡骸のポーズ)で深い休息に浸りたい時もある。
だが多くの場合はその中間地点、つまり完全な活動と完全な休息の間を探求する。

 

この中間的な地点に、絶妙にバランスのとれた精神状態が存在する。
意識は集中しており、敏感でいて穏やか、静寂でいて怠惰でなく、快活で完全に覚醒している。
心は澄みきり、清らかで、今に集中できているという感覚だ。

 

おそらく、あなたはこうした境地に達するのに最善の方法をご存じのはずだ。
つまり、静かに座り、視線を下げて心地よい一点を見つめ、呼吸を整えればいい。

 

だが、このプラクティスでまぶたが果たす役割の大きさに気付いているだろうか?
まぶたを適度に軽く閉じることで体の生理機能が変化し、落ち着きと集中力が増すことを。

 

ヨガとは心の働きを止滅することである

 

流派や運動量に関わらず、ヨガの練習ほど満ち足りた気分をもたらしてくれるものはない。
その理由は、動きと呼吸をシンクロさせることによって、頭の中をたえず駆け巡る思考が停止し、心が静まってくるからだ。
意識は次から次へと浮かんでくる「やることリスト」を離れ、呼吸のリズムへと向けられ、練習を始める前より気持ちが穏やかになる。

 

しかし、多くの人にとって、瞑想で落ち着いて満ち足りた状態になるのは容易ではない。
実際、心が不安や自己批判、昔の思い出を呼び起こすさまをただ見守るのは決して簡単ではない。
瞑想には根気と時間が必要だが、現代人には特に時間のやりくりの方が難しいかもしれない。

 

では、どうしてそこまで苦労して瞑想をするのだろうか。

 

端的に言うと、瞑想は人生経験を根底から変えることができるからだ。
数千年の昔、「ヨガ・スートラ」を編集した聖者パタンジャリも、ブッダも、瞑想することで従順ならざる心によって生じる苦悩を取り除くことができると説き、弟子たちに集中力と思いやりと喜びを育むように導いた。

 

さらに両者は、習慣的に瞑想状態を経験することで、知力や情緒パターンを変えることが可能だと信じた。
これらは極めて重みのある教えだ。

 

しかし、最近では彼らの教えを鵜呑みにする必要もない。
欧米の科学者たちは、新しいテクノロジーを駆使して瞑想が脳へ与える影響を研究し、偉大な先人たちの叡智を検証している。
最新の研究結果は、わずかな瞑想でも脳の物質的構造が再構築され、人生経験に深い影響を与えうることを示している。
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