瞑想で集中力を高める

瞑想は2つの点で集中力の向上に役立つことが分かっている。
ひとつは、気が散ることなく特定の対象へ集中できること。
もうひとつは、周囲で起こっていることへの認識力が高まり、今この瞬間の全体像が把握できること。

 

ウィスコンシン大学マディソン校で脳の画像と行動を専門とするワイズマン研究所の副所長、アントワーヌ・ルッツ博士の研究チームは、瞑想が集中力に及ぼす影響について非常に興味深い研究を行っている。
呼吸を数えたり、特定の対象を凝視したりと、ひとつのことに完全に集中する瞑想が、意識のコントロールに不可欠な脳の領域を活性化させるという。

 

このことは瞑想の初心者にも当てはまった。
経験豊かな瞑想者は、この領域でさらに強い活性化を示した。
もし、瞑想が脳の集中力を高めると仮定すれば、この結果は想定内。

 

想定内なのだが、極めて経験豊富な瞑想者(瞑想練習が44000時間以上)は、高い集中力を示すものの、脳の同じ領域での活性化レベルは上がらなかった。
これに対するルッツ博士の見解は、瞑想の訓練は最終的には集中しようという努力さえも軽減させるというもの。
集中を持続することが容易になると説明している。
この研究結果は、簡単な瞑想テクニックを学ぶだけですぐに集中力を高めることができ、練習によってさらに進歩することを示唆している。

 

研究者たちはまた、ヴィパッサナ瞑想の訓練が集中力を全般的に高めるかどうかの実験を行った。
ヴィパッサナとは「物事をありのままに見る」の意味で、その瞑想テクニックは集中力、気付き、洞察力を高めるとされる。

 

研究者たちは、自分の周囲への注意力の欠如を「注意のまばたき」と呼ぶ。
私たちの多くは、自分自身の思考にとらわれて友人が話したことを聞き逃すなど、一日中どこかでこれを体験している。
その典型的な例が、他のことに気を取られて前の車が停止したことに気付かずに起こる交通事故だ。
この注意のまばたきを減らすことができれば、現実をより正確かつ完璧に把握し、注意力が高まってミスが少なくなるだろう。

 

瞑想によって注意のまばたきが減るかどうかを検証するために、1秒と間をおかずに矢継ぎ早に起こる2つの事象を被験者に認識させる実験が行われた。
科学雑誌「プロス・メディスン」に、瞑想の訓練によって被験者の、両方の変化を正確に認識する能力が向上したという結果が発表されている。

 

この認識能力の向上は何を意味するのだろうか?
脳の電気活動のパターンを記録し、脳活性時の瞬時の変動を正確に表す脳波検査で、被験者たちは各対象を認知する作業に少ししか脳の機能を使っていないことが分かった。
実際、瞑想者はわずかな精神エネルギーで最初の対象を認識できたため、次の対象を認識するのに精神的なゆとりを確保できた。
つまり、脳にとって集中する作業が事実上容易になったわけだ。

 

結果的に、ルッツ博士の研究チームは、瞑想は限定的に脳の機能をコントロールすることが可能だという結論に至った。
これは、注意散漫になったり、途方にくれたりした経験のある人にとっては魅力的な恩恵だ。
たとえ集中力が限界のある機能だとしても、すでに持っている精神エネルギーで有益なことを習得できるのだ。

 

 

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